日本呼吸器外科学会雑誌
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乳癌根治術17年と13年後の孤立性肺腫瘍の病理診断に免疫組織学染色が有用であった2症例
内山 美佳福井 高幸宇佐美 範恭伊藤 正夫森 正一吉岡 洋今泉 宗久長坂 徹郎上田 裕一
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2004 年 18 巻 7 号 p. 804-809

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抄録

乳癌は他の癌と比較して遠隔期に再発する傾向がある.また孤立性肺転移では術前診断で原発性肺癌の画像, 組織像に類似しているものがあり鑑別が困難である.今回我々はそのなかでも17年と13年という長期間を経て再発し, 鑑別に免疫組織学的診断が有用であった症例を経験したので報告する.症例1は52歳女性.17年前に右乳癌のため拡大乳房切除術が施行された.今回は外来通院中に左肺S1+2に直径25mmの腫瘍を認め, 同部の肺部分切除を行った.症例2は53歳女性.13年前に左乳癌のため胸筋合併乳房切除術が施行された.今回は検診で左肺S3肺門周囲に直径20mmの腫瘍を認めた.術前気管支鏡下肺生検により腺癌の診断を得たため, 左上葉切除+ND1郭清を施行した.免疫組織学的診断の結果は2症例とも肺腫瘍, 乳癌検体でGCDFP15 (アポクリン分泌腺マーカー) 陽性を示したため乳癌の肺転移と診断された.

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