日本呼吸器外科学会雑誌
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嚢胞状陰影を呈した前縦隔悪性リンパ腫の1例
張 性洙奥村 典仁三好 健太郎松岡 智章亀山 耕太郎中川 達雄
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2004 年 18 巻 7 号 p. 821-825

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抄録

縦隔悪性リンパ腫は通常均一な内容の腫瘍であり, 嚢胞状陰影呈することは稀である.今回我々は, 嚢胞状陰影を呈し術前診断が困難であった縦隔腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は59歳男性.検診にて胸部レントゲン異常を指摘された.胸部CT検査では左前縦隔に壁の厚い嚢胞状陰影と, 上縦隔に2個の結節性陰影を認めた.入院時の胸部MRI検査では, 前縦隔の嚢胞状陰影は縮小し上縦隔の2個の結節影は共に増大していた.胸腺関連腫瘍とリンパ節腫大を疑い腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断では共にdiffuse large B cell lymphomaと診断された.嚢胞性病変は腫瘍内の広範な壊死に起因したものと判明した.術後化学療法および放射線療法を施行し, 術後1年10ヵ月の現在, 再発を認めず経過は良好である.嚢胞状陰影を示す縦隔悪性リンパ腫はまれであり症例を提示した.

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