日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
先天性嚢胞性腺腫様奇形腫を合併した乳児肺葉内肺分画症の1例
大畠 雅之永安 武
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 18 巻 7 号 p. 840-844

詳細
抄録

症例は3ヵ月男児.在胎22週の胎児超音波検査で左胸腔内に多嚢胞性病変を指摘された.先天性嚢胞性腺腫様奇形腫の診断で在胎38週5日, 2340gで出生.出生後のCTにて左胸腔内に嚢胞と充実成分の混在する病変を認め, 当科紹介となった.患児の呼吸状態は安定しており一旦退院したが, 生後3ヵ月に嚢胞の増大を認め左下葉切除術を施行した.左下葉には嚢胞成分が存在し, 横隔膜靭帯には胸部大動脈から流入する太い血管を認めた.病理組織検査で内腔径5~6mmの太い動脈が流入する充実性病変に接して嚢胞状に拡張した病変が存在していた.嚢胞部分には径4~5mmの多列線毛上皮で裏打ちされた嚢胞が密集し, 気管支は正常と異なり分布が不均一で異常に拡張しておりStocker type IIのCCAMの組織像を示していた.以上より本症例はCCAM病変を合併する肺葉内肺分画症と診断された.術後経過は良好でその後再発・再燃を認めていない.

著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top