日本呼吸器外科学会雑誌
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呼吸停止下における液々ECCO2Rの実験的検討
五十部 潤
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1992 年 6 巻 6 号 p. 641-646

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抄録

少流量の体外循環で二酸化炭素を効率良く除去するため, 透析器を用い二酸化炭素を重炭酸イオンとして除去する装置を試作した.二酸化炭素除去に対する本法の効果を検討するため, 気道内持続的陽圧 (CPAP) をかけた呼吸停止犬を実験モデルとして検討した.
雑種成犬を麻酔後, 気管内挿管し100%酸素吸入, 10cm水柱のCPAPをかけ筋弛緩剤にて呼吸停止させ, 15分後に体外循環を開始した.体外循環は上大静脈より脱血し股静脈より還血する静脈一静脈バイパスで行った.脱血された静脈血は透析器にて二酸化炭素を, 主として重炭酸イオンの形で除去した.体外循環の血流量は15ml/kg/分とした.今回の実験では体外循環中の動脈血酸素分圧は350 mmHg以上, 二酸化炭素分圧は90mmHg以下を保っており, 血液100mlあたり30ml以上の二酸化炭素を除去することができた.体外循環中に気道より排出される二酸化炭素の量はごくわずかであり, ほとんどの二酸化炭素はECCO2Rにより除去された考えられた.

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