日本呼吸器外科学会雑誌
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拘束性肺疾患症例における肺葉切除後の残存肺機能予測の検討
芦野 有吾谷田 達男小野 貞文佐久間 勉藤村 重文小池 加保児
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1992 年 6 巻 6 号 p. 655-660

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抄録

肺切除術後肺機能の予測に際し, 術前の肺機能障害が如何なる影響を与えるか検討した.肺葉切除術を施行した肺癌症例の内, 腫瘍の直径5cm以下の症例を対象とし, 術前の肺機能から, 拘束性障害を合併した群 (拘束群;13例) と正常な肺機能を有する群 (対照群;41例) に分け比較検討した.術前に, 肺機能, (FVC, FEV1.0, THLC, FRC, RV, DLco), 及び肺血流分画を測定し, 肺血流分画と切除予定区域数より術後の肺機能予測値を求めた.この予測値と術後の肺機能実測値間の相関, 及び一次回帰直線を求め, 以下の成績を得た.予測値と術後測値の相関は両群で有意に高く, 2群間の相関に差は認められなかった.一次回帰直線の係数は, FVC, FEV1.0, TLCにて拘束群で対照群より高値で, FRC, RV, DLcoでは低値であり, 2群の回帰直線に平行性は認められなかった.術前肺機能障害の有無は術後肺機能値に影響を及ぼすと考えられた.

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