1992 年 6 巻 6 号 p. 676-682
有瘻性MRSA膿胸の症例に対し, 二期的手術を行い良好な結果が得られたので報告した.症例は56歳, 男性.MRSA肺炎の診断にて内科で加療中, 肺化膿症・膿胸へ移行し, 当科受診.閉鎖性ドレナージにて喀痰量・菌量の減少をみたが, air leakが続くため, 有瘻性膿胸の診断で2ヵ月後に開窓術を施行.膿胸腔の浄化を徹底して計り, 開窓術より6ヵ月後に有茎大網弁を充填した.有茎大網弁は胸部外科領域全般にわたって, 合併症の予防・術後感染症の治療に用いられ有用であるとされている.しかし, 不成功に終わった症例の報告もあり, 難治性かつ重篤化しやすいMRSA膿胸に対しては感染巣の浄化が重要である事を強調した.