日本呼吸器外科学会雑誌
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肺癌が疑われた肺犬糸状虫症の3切除例
術前診断 (画像所見) を中心に
平井 利和小玉 仁鯉渕 幸生遠藤 敬一森下 靖雄
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1992 年 6 巻 6 号 p. 683-690

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抄録

検診により初めて胸部異常陰影を指摘され, 精査の結果画像上腫瘤陰影を示し, 肺癌との鑑別が問題となり, 外科的切除により確診した肺犬糸状虫症の3切除例を経験し報告した.
胸部X線写真を検討すると, 1) 単純像では辺縁比較的不鮮明な淡い腫瘤陰影である, 2) 断層像では辺縁明瞭な類円形のX線密度の高い均等な陰影である, 3) CT像では胸膜直下の楕円形の陰影で区域あるいは亜区域の肺動脈が真直ぐに腫瘤に向かっている, 楕円の長軸は肺動脈の走向と一致したいわゆるparallel signを示す, などの特徴が認められた.しかし肺癌との鑑別には絶対的な特徴とは言えない.
免疫血清学的診断の確立が望まれる一方, 胸部腫瘤陰影の診断には, 本症を念頭におくことが重要と考える.

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