日本呼吸器外科学会雑誌
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径 18mm の異常動脈を伴った Pryce I 型肺分画症の 1 治験例
片岡 和彦西山 祥行最勝寺 哲志西村 光世高橋 健郎
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キーワード: 肺分画症, Pryce I 型
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1992 年 6 巻 6 号 p. 691-698

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抄録

Pryce I 型肺分画症の1例を報告する.症例は31歳男性で, 検診で胸部異常陰影を指摘された.CTにて異常血管を示唆する所見を認め, 肺動脈造影にて左肺底区の肺動脈を欠如し, 大動脈造影にて胸部大動脈より左肺底区を灌流する異常動脈を認めたため, PryceI型肺分画症と診断した.開胸すると異常動脈は径18mmと太く, 蛇行しながら左肺底区を灌流しており, これを処理した後, 左下葉切除を施行し, 経過良好であった.病理学的には, 異常動脈のアテローム変性と, 肺底区末梢の肺動脈に再疎通を伴った閉塞病巣を認めた.
Pryce I 型肺分画症は比較的まれで, 本邦報告例は19例であった.若年者, 男性に多く, 異常動脈は15例が胸部大動脈に起始し, ほとんどが1本で, 根部の太さは自験例の18mmが最大であった.灌流部位は全例下葉で, 左が13例と多く, 治療は異常血管の切断と, その灌流領域を含んだ肺切除がなされていた.

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