抄録
肺移植適応患老と考えられたびまん性汎細気管支炎 (DPB) の2例を経験した.症例1は55歳女性, 症例2は60歳女性である.ともに, 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難を主訴に来院した.症例1は抗生剤投与, 気道クリーニング等の治療を行い, 症状の改善を認めた.その後, 徐々に増悪し右心不全により5年後に再入院となった.現在, 在宅酸素療法とエリスロマイシソ療法中であるが, 呼吸不全状態は徐々に悪化している.症例2も抗生剤投与, 気道クリーニング等の治療により症状の改善を認めた.退院後もエリスロマイシソ療法中であるが, 呼吸不全状態が続き在宅酸素療法中である.2例とも, エリスロマイシン療法に反応しない進行例である.今後の増悪が予想され, 予後は不良と判断している.非可逆性の末期的進行性肺疾患であり, 肺移植が唯一の治療法と考えられた.DPBはアジア独特の疾患であり, 右心不全例の問題や至適移植時期など, 移植の適応基準の作製が急務である.