日本呼吸器外科学会雑誌
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びまん性汎細気管支炎 ; 肺移植適応についての一考察
坪田 典之亀山 耕太郎杉田 礼典林 栄一川口 仁谷口 清英岡田 貴浩桂 浩中元 賢武前田 昌純
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1993 年 7 巻 2 号 p. 183-191

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抄録
肺移植適応患老と考えられたびまん性汎細気管支炎 (DPB) の2例を経験した.症例1は55歳女性, 症例2は60歳女性である.ともに, 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難を主訴に来院した.症例1は抗生剤投与, 気道クリーニング等の治療を行い, 症状の改善を認めた.その後, 徐々に増悪し右心不全により5年後に再入院となった.現在, 在宅酸素療法とエリスロマイシソ療法中であるが, 呼吸不全状態は徐々に悪化している.症例2も抗生剤投与, 気道クリーニング等の治療により症状の改善を認めた.退院後もエリスロマイシソ療法中であるが, 呼吸不全状態が続き在宅酸素療法中である.2例とも, エリスロマイシン療法に反応しない進行例である.今後の増悪が予想され, 予後は不良と判断している.非可逆性の末期的進行性肺疾患であり, 肺移植が唯一の治療法と考えられた.DPBはアジア独特の疾患であり, 右心不全例の問題や至適移植時期など, 移植の適応基準の作製が急務である.
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