日本呼吸器外科学会雑誌
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食道穿孔が疑われた急性縦隔洞炎の1治験例
成田 久仁夫岩波 洋日吉 晴久立花 正徳左近司 光明篠原 義智坪井 栄孝
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1993 年 7 巻 2 号 p. 192-198

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抄録
種々の原因で発生する食道穿孔は, 稀な疾患ながら縦隔洞炎や膿胸等を併発する重篤な疾患で, その予後は極めて不良とされる.食道内異物 (魚骨) が原因と思われる頸部食道穿孔により, 急性縦隔洞炎と左膿胸を併発した症例に対して, 右開胸下に縦隔, 胸腔の清浄とドレナージを行い, 術後も0.6%povidoneiodine生理食塩水溶液による持続洗浄を行って治癒し得た1例を報告する.症例は58歳女性, 魚骨が喉に刺さり, 高熱と激しい咽頭痛を主訴に来院した.急性扁桃腺炎の診断で抗生剤を投与したが, 急性縦隔洞炎から左膿胸を併発した.ドレナージにより左胸腔内膿汁を排液した後, 右開胸により縦隔内を郭清し, 複管式ドレーンを3本 (縦隔に2本, 右胸腔に1本) 留置して, 術後22日間にわたり縦隔, 胸腔の持続洗浄を行った.縦隔洞炎は極めて重篤な疾患であり, 早期に診断すると共に, 保存的治療にとどめず, 開胸ドレナージを行って汚染した縦隔を洗浄すべきと考える.
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