日本呼吸器外科学会雑誌
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肺癌全剔後対側肺転移に対する手術;PCPSによる体外補助循環の応用
坪田 典之前田 昌純亀山 耕太郎杉田 礼典林 栄一川口 仁谷口 清英岡田 貴浩桂 浩中元 賢武那須 教生宮本 裕治松田 暉
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1993 年 7 巻 7 号 p. 850-855

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抄録

肺癌全?剔?後の対側肺転移に対して, percutaneous cardiopulmonary support system (PCPS) を用いて肺部分切除術を施行した症例を経験した.症例は65歳男性, 肺扁平上皮癌で, 右肺全別術を行い, p-T3N2M0, stage IIIAと確定された.術後約3年を経過して, 左肺に単発性の再発転移を認めた, 孤立性であり, 他臓器への転移再発は認めなかったので, 手術療法の適応と考え部分切除を施行した.大腿動静脈からPCPSを装着し, 開胸直後から潅流を開始 (2L/min) した.約20分の手術経過中, SaO2は全肺圧迫の無換気状態でも96%以上を維持でき, 血行動態も安定していた.術後も問題なく経過し, 術後1年3ヵ月生存中である.呼吸器外科領域におけるPCPSの意義について考察を加えた.

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