1993 年 7 巻 7 号 p. 850-855
肺癌全?剔?後の対側肺転移に対して, percutaneous cardiopulmonary support system (PCPS) を用いて肺部分切除術を施行した症例を経験した.症例は65歳男性, 肺扁平上皮癌で, 右肺全別術を行い, p-T3N2M0, stage IIIAと確定された.術後約3年を経過して, 左肺に単発性の再発転移を認めた, 孤立性であり, 他臓器への転移再発は認めなかったので, 手術療法の適応と考え部分切除を施行した.大腿動静脈からPCPSを装着し, 開胸直後から潅流を開始 (2L/min) した.約20分の手術経過中, SaO2は全肺圧迫の無換気状態でも96%以上を維持でき, 血行動態も安定していた.術後も問題なく経過し, 術後1年3ヵ月生存中である.呼吸器外科領域におけるPCPSの意義について考察を加えた.