1995 年 9 巻 1 号 p. 40-47
左側胸腔内に発生した Askin 腫瘍を経験した。血性胸水にて発症し, 胸水細胞診および胸膜生検は陰性であったが, 胸水中のNSEは高値であった.胸水にて発症後, 約4ヵ月後に巨大腫瘍を形成した.腫瘍の摘出を試みたが, 生検に留まった。強力な化学療法と放射線治療にも抵抗性で, 肺転移を来し, 全経過約16ヵ月にて癌死した.若年者にNSE高値の血性胸水を認めた場合, 本疾患を念頭におき, 積極的な開胸生検を行うことが胸水発症例を診断する上で肝要と思われた.