日本呼吸器外科学会雑誌
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肺瘻周囲の胸膜に子宮内膜間質様組織を認めた月経随伴性気胸の一例
朝倉 庄志加藤 弘文藤野 昇三小西 孝明浅田 佳邦手塚 則明一瀬 真澄森 渥視生内 一夫
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1995 年 9 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

肺瘻周囲の胸膜に子宮内膜間質様組織を認めた月経随伴性気胸の1例を経験した.症例は31歳の女性で, 月経時期に一致して右気胸を繰り返し発症していた.排卵抑制剤投与中は気胸の発症を認めなかったが, 投与中止後, 月経時期に一致して右気胸が再発した.開胸術時に, 右肺中葉に1mm大の肺瘻を認め, 肺部分切除術を行った.術後の病理組織検査で同肺瘻周囲の胸膜に子宮内膜間質様組織が認められ, 胸膜への子宮内膜組織の播腫が気胸の原因であると考えられた.肺胸膜に子宮内膜組織を認めた月経随伴性気胸の報告例は4例と非常に少数であり, 術中に肺瘻が確認された症例はそのうちの1例のみである.我々の症例は月経随伴性気胸の原因としての子宮内膜症胸腔内播腫説を裏付ける貴重な1例であり, 胸膜への小播腫巣を証明するためには気胸発症後できるだけ短い期間で胸腔鏡ないし開胸術を行う必要があると考えられた.

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