日本呼吸器外科学会雑誌
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肺原発悪性リンパ腫の3例
特に画像的特徴について
下川 敏弘金子 聡中橋 恒安元 公正
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1995 年 9 巻 1 号 p. 64-73

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抄録

胸部X線写真上特異な像を呈した2例を含む3例の肺原発悪性リンパ腫を経験した.症例1は74歳女性, 発熱と咳嗽を主訴として受診し, 両側上肺野の多発性腫瘤陰影を指摘された.開胸肺生検で大細胞型と診断され, THP-COPとTHP-MVPによる全身化学療法を施行した.症例2は76歳男性, 無症状で胸部X線写真にて発見され, air bronchogramを伴う左下葉の虚脱を示していた.下葉切除がなされ, びまん性小細胞型, MALT lymphomaであった.化学療法は行わなかった.症例3は69歳女性, 検診の胸部X線写真で異常を指摘され, 右中下葉のairbronchogramを伴う虚脱と左下葉の虚脱と浸潤影を示していた.開胸肺生検で, びまん性小細胞型, MALT lymphomaと診断され, 症例1と同様の化学療法を施行中である.3例とも免疫染色にて, B cell typeと診断された, 胸部X線写真上, 症例2と3は肺葉の虚脱とair bronchogram を伴う一見 “いわゆる無気肺” を思わせる均質性陰影を呈し, 画像上の特徴的所見と思われる.

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