1995 年 9 巻 1 号 p. 87-90
患者は56歳の男性で, 右肺癌再発のため completion pneumonectomy を施行し, 順調な経過で退院したが, 4ヵ月後に気管支瘻をきたし入院した.胸腔ドレナージ後, 右胃大網動静脈を血管茎とする漿膜筋層胃弁を用いて瘻孔を閉鎖した.胃弁とともに挙上した大網は閉鎖部の被覆と, 右胸腔約1/3の充填に用いた.胸腔ドレンは第6病日に抜去し, 術後経過は極めて良好であった.この術式は大網のみによる気管支瘻閉鎖術に比べ, より気密性に優れた瘻孔閉鎖が可能であると考える.患者は術後8ヵ月現在再発なく健在である.