1995 年 9 巻 1 号 p. 91-95
喀血をきたした気管支動脈-肺動脈瘻の1症例を経験した.症例は52歳男性で, 2度の喀血を主訴に来院した.胸部単純写真およびCT検査で左上葉に出血巣と嚢胞を認めた.喀痰培養ならびに細胞診検査は陰性で, 気管支鏡および気管支造影検査においても異常所見を認めなかった.気管支動脈造影検査で左上葉の気管支動脈一肺動脈瘻が確認され, ほかに喀血の原因となる疾患が存在しないことから, 気管支動脈-肺動脈瘻の破綻が喀血の原因として考えられた.嚢胞を含めた左上葉部分切除を施行し, 以後喀血の再発を認めていない.気管支動脈一肺動脈瘻は喀血をきたす疾患のひとつとして念頭におくべきと考えられる.