1995 年 9 巻 7 号 p. 813-817
胸腔鏡下手術の普及により, 両側気胸の治療法や手術適応も大きく変遷しつつあると考えられる.当教室で経験した両側気胸についてその臨床所見や治療内容を検討し, 治療方針について考察を加えた.両側同時性気胸は12例で, 発症年代別の差は認められなかった.両側とも初発である例が過半数を占めたが, 全例とも発症後比較的早期に受診しており, 重篤な症状は認められなかった.治療は, 両側一期的胸腔鏡下手術を原則としている.一方, 両側異時性気胸は42例で, 全気胸症例の中で年令別に占める割合では10歳台に最も多く認められた.しかし, 片側手術後に対側へ気胸が初発するまでの期間は最短5日から最長8年で, 年齢による差は認められなかった。治療は, 対側にも気胸の既往が認められる場合には両側一期的胸腔鏡下手術を行っている.しかし, 気胸歴がない場合の対側の予防的手術は行わず, 将来発症した場合に実施することを原則としている.