日本呼吸器外科学会雑誌
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著明な骨形成を認めたびまん性悪性胸膜中皮腫の1手術例
塚田 久嗣宮元 秀昭原田 龍一浜田 哲郎坂尾 幸則羽田 圓城
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1995 年 9 巻 7 号 p. 830-836

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抄録

症例は70歳男性.アスベストの暴露歴はない.1993年9月, 定期検診の胸部X線写真にて右上肺野に孤立性石灰化像を指摘されるも陳旧性肺結核像として経過観察となる.しかし, 1994年7月の定期検診の胸部X線写真では右肺野全体に多発性の石灰化像が認められ, 精査加療目的で入院となる.胸部CTでは胸膜に多発性の石灰化腫瘤と少量の胸水貯留を認めた.骨シンチグラフィでは石灰化像に一致して集積像を認めた.全身検索の結果, 転移性腫瘍, 胸壁腫瘍も否定的であった.胸腔鏡下生検を施行, 組織学的には炎症や骨・軟骨肉腫像とは明らかに異なり, 紡錘型の細胞が骨形成を伴いながら高密度に増殖していた.以上より, 胸膜腫瘍, 特にびまん性胸膜中皮腫を疑い手術を施行した.手術は右拡大胸膜肺全摘・縦隔リンパ節郭清 (R2b) ・有茎広背筋弁による心嚢・横隔膜再建術を施行した.術後病理診断は, 著明な骨化を伴った二相型のびまん性悪性胸膜中皮腫であった.

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