抄録
症例は60歳, 男性, 胸部異常陰影を主訴に入院し, 胸部CT, 喀疾細胞診にて右S9の扁平上皮癌と診断された.入院時検査にて血清Ca12.8mg/dl, PTH-rP-C85.5pmol/lと高値を示した.手術は低肺機能のため肺底区区域切除を施行した.腫瘍は69×57×41mmで病理は中分化型扁平上皮癌であった.術後Ca, PTH-rP-Cはすみやかに正常値に復し, 摘出した腫瘍組織よりPHT-rPのmRNAを確認したため, PTH-rP産生肺扁平上皮癌と診断された.術後1年, 再発の徴候なく生存中である.