抄録
本稿は芸術を用いた複言語・異文化間教育研究として、大学のフランス語教育の授業で行った、フランス人監督によるロシア語・フランス語映画を用いた文化教育実践を取り上げる。参加者はフランス語を履修する学部生40名で、映画鑑賞後に映画研究者による講義を受けた。参加者が講義の前後に報告した省察テクストを質的に分析した結果、国際的な共同製作作品であるフランス映画を通して、フランス語学習の動機付けの向上からソ連時代のウクライナにおける弾圧や東西の複雑な関係といったテーマへの関心の拡大まで、幅広い学習が認められた。