複言語・多言語教育研究
Online ISSN : 2435-8657
Print ISSN : 2188-7403
多言語話者の言語習得の経験とアイデンティティ
在日フィリピン人介護福祉士の人生の径路に着目して
尹 惠彦
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2025 年 12 巻 p. 152-169

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抄録
本稿は、外国人介護人材の視点に立った人材育成の重要性について問題提起し、長年介護現場に従事している外国人介護人材の人生の過程を可視化し、かれらのアイデンティティの構築と変容を考察したものである。具体的には、在日フィリピン人介護福祉士の言語習得の経験がかれらのアイデンティティとどのようにかかわっているかを、かれらの意志決定や行動選択に着目し、外国人介護人材の育成のあり方について検討した。その結果、まず、在日フィリピン人介護福祉士は、かれらが置かれている状況の中で、未来志向的な「投資」を続け、人々のかかわりの中で「適切」な関係を築きながら、「多言語主体」の考え方を深めていることが確認された。次に、その過程において、かれらは「場」に応じるアイデンティティを「交渉」、選択していることが明らかになった。最後に、外国人介護人材が自身の視点から意志を決定し、言動をとる「多言語主体」の考え方を導く過程には、従来の規範に囚われることなく、外国人介護人材に接している「他者」が存在していることが示唆された。
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© 2025 一般社団法人 日本外国語教育推進機構
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