抄録
我々はこれまで複数回、異なる大学の中国語・韓国語・ドイツ語クラス間で連携プロジェクトを実施してきた。本稿では、プロジェクトにおいて教師間、学生間、学生と母語話者間、そして社会との「連携」の重要性や、なぜこの時代に「つながる」ことやその方法を考えることが重要なのかを複言語主義の観点から示した。本稿で取り上げた2018年度プロジェクトでは、「外国人の日本に対する違和感」をテーマに実施したが、プロジェクト終了後に参加学生を対象に行ったアンケートの自由回答を分析した結果、参加学生の多くが自文化を客観視し、多様な文化を理解し、且つそれぞれへの批判的な視点を獲得し、多様な文化との「摩擦」に折り合いをつけながら共生をしていく必要があることへの気づきがあった。この結果から、連携プロジェクトを通じて学習者の多文化共生社会に参加する素地を培うことができ、ステレオタイプ的な文化理解から脱却できたと考えられる。