要旨:IPCCレポートによれば,次の100年において0.18m~0.59mの海面上昇が生じると予想されており,地球シミュレータを用いた解析により降雨量が約20%増加するとも言われている.著者らは都市域を対象に,下水道システムをモデル化した高度な氾濫解析法を構築している.そのモデルには,合流式下水道の雨水吐からの流出が考慮されており,都市域,河川域,海域における水の挙動とそれらの相互作用を一体的に取り扱うことに特徴がある.本研究では,この解析モデルを用いて,都市の内水氾濫災害に焦点を絞り,地球温暖化による海面上昇と降雨の変化の影響や,治水計画論的観点からの地球温暖化の影響を検討する.本研究から,海面上昇が内水氾濫に与える影響や,地球温暖化に伴う治水安全度の低下を示し,目安的であるが,対象領域の場合,現状の施設による100年生起確率を有する降雨による0.50m以上の浸水面積は,100年後の地球温暖化のひとつのシナリオの下では,45年生起確率の降雨による0.50m以上の浸水面積と同程度であることなどが示された.