2009 年 22 巻 2 号 p. 63-76
要旨:我が国は大小さまざまな島が存在するが,こうした島々をはじめ地方の多くの地域では過疎化,高齢化が進み,特に高齢者のモビリティの確保が大きな問題となっている。しかし,こうした地域では住民の交通特性を分析するための基礎的なデータがほとんど存在しないため,その特性などはまったく把握されておらず,モビリティの確保のための計画案の策定などに支障を来している。
そこで本研究では,過疎化,高齢化が著しい瀬戸内海に浮かぶ大崎上島の住民を対象に,都市部などで一般に行われているパーソントリップ調査を実施することにより,島民の交通行動の特性について分析した。その結果,島民の交通行動に関する基礎的な知見として,トリップ数やトリップ目的,利用交通手段などの実態を明らかにするとともに,特に高齢者の交通行動の特性について考察した。