2013 年 26 巻 1 号 p. 39-51
要旨:使いやすい港湾を実現するためには,船舶の大型化等に併せて港湾の整備を進める必要があるが,航路・泊地の増深や維持管理に伴って発生する浚渫土砂の処分場及び埋立地が不足している.しかし,新たな埋立地は環境問題等地元調整の困難性から整備が中々進まないのが現状である.そのため,浚渫土砂を干潟・浅場造成等に用いることにより,浚渫土砂の処分量を減らす取り組みが望まれている.筆者らは本論文で,従来実施されてきた干潟・浅場造成の事例を振り返り,技術上の課題を整理するとともに,今後大規模で環境的にも優れた干潟・浅場を造成・維持していくために必要な技術開発の方向性を明らかにした.また,港湾の浚渫土砂の大宗を占める粘性土による大規模な泥質干潟の造成の方法を提案した.