沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
論文
港湾の資本費と維持管理費の上昇要因の分析と今後の展望
高橋 浩二春日井 康夫福田 功内田 吉文
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2013 年 26 巻 1 号 p. 53-65

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抄録

要旨:港湾経営を考えるためには経営学の重要な指標である資本費および維持管理費の動向および将来の展望を明確にすることが必要不可欠である。筆者らは本論文で港湾施設の資本費および維持管理費に着目し、これらの費用の上昇要因および建設費の内外価格差を分析した。この結果、船舶の大型化に対応した港湾施設の大水深化・沖合展開や、わが国の自然的条件(地震、津波)、新たなリスク(レベル2クラスの事象や、地震に伴う大規模液状化による側方流動等)の回避のため、今後も資本費および維持管理費は上昇する傾向にあることが明らかとなった。また、内外価格差を分析したところ、耐震強化や地盤改良の必要性から、わが国は海外に比べ資本費が高いことも明らかとなった。本論文で、資本費および維持管理費の上昇傾向にあることや海外に比べ高いことは、特に埋立事業、港湾機能施設事業の採算性や港湾管理者の経営の健全性を悪化させる要因となることを示した。

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© 2013 日本沿岸域学会
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