要旨:平成23年3月11日14時46分に,東日本大震災が発生した.国内観測史上最大規模の地震であり,マグニチュード9.0を記録した.三陸沿岸部では地震に伴う未曾有の大津波に遭遇し,多数の尊い人命が犠牲になり,また陸上だけでなく,海上の船舶や港湾施設等に甚大な被害を与えた.被害増大の一要因として,想定外の大津波であったため,津波伝搬の早期予測が遅れたことによる.もし,津波伝搬の早期予測が可能であれば,早期避難により,被害は軽減されたものと思われる.
本研究は,これまで誰も試みたことがない船舶が搭載のAISのデータから,津波の伝搬予測を行うことである.さらに,津波の早期予測をより確実なものにするための問題点を抽出し,今後の研究発展に処する.AISデータから津波の伝搬予測を行った研究はこれまでになく,世界で初めての先駆的かつ独創的な研究である.今回はその第一報である.