沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
論文
海浜の一体的管理における横断連携のあり方に関する研究
塩入 同
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 26 巻 3 号 p. 141-152

詳細
抄録

要旨:1999年に海岸法が改正され、法目的に環境と利用が追加された。わが国の砂浜海岸の背後には、古くから防災を目的とした海岸保安林が森林法に基づき整備・指定され、海岸法と森林法は制度上の長大な接触線を形成している。この砂浜海岸と海岸保安林は、現在侵食や波浪などの共通した危機に直面している。しかし、これらの管理者間での連携実態はほとんどなく、被害に対して個々に対策が図られてきた結果、両者の境界付近では消波ブロックが山積みとなるなど、縦割りの社会システムにおいて環境や利用上の問題が生じている。そこで本研究では、砂浜海岸と海岸保安林を「海浜」と定義し、その一体的な管理に向け、関係法令、及び関連法定計画、自治体総合計画を中心に分析し、問題の構造を明らかにして連携事例の把握を行った。その結果、法定計画や自治体総合計画が横断連携の裏付として機能している事例や、目的や権限を付与された部署や組織が形成されている事例が確認され、横断連携を図る上では、各種政策を調整し統合する機能が自治体に求められているという共通点を見出した。

著者関連情報
© 2013 日本沿岸域学会
前の記事 次の記事
feedback
Top