要旨:沿岸域の生態系は,海岸の埋立てや陸域からの土砂流入などにより,広範囲に影響を受けており,サンゴ礁も影響を受けている。「開発」と「環境」は対立するもの,相容れないものとして捉えられているが,開発か環境かという対立軸ではなく,共存できる方策が求められている。本研究の目的は,サンゴが良好な状態で分布していることが確認された沖縄県本部町浜崎海岸の人工リーフを対象に現地調査を行い,サンゴの生息分布特性と流況、水質および堆積物の関係について考察することである。調査の結果,人工リーフの位置によってサンゴの被度ならびに構成する形態が異なること,それには堆積物量や低低潮時に出現する流動特性が影響していること,リーフ周辺での水質環境がサンゴの生息にとって好ましいことを見出すことができた。