支援対話研究
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不妊女性用ソース別Negative Social Interactions 測定尺度の開発の試み
-信頼性・妥当性検討のためのパイロットスタディ-
秋月 百合甲斐 一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 2 巻 p. 47-60

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抄録

本研究は、不妊女性が経験するNegative social interactions(NSI)を測定する尺度を、ソース別(夫、実親、夫の両親、友人・その他)に開発するためのパイロットスタディであり、各尺度の信頼性・妥当性を検討することを目的とした。本研究ではNSIの概念を、一方の個人に否定的・非支援的な認知をもたらす他方の個人の言動や態度を含むSocial interactionととらえ、そのような認知を不妊女性に引き起こす他者の言動や態度の内容的側面に焦点を当てて把握することとした。先行研究をもとに作成した夫NSI(夫とのNSI、以下同様)、実親NSI、夫の両親NSI、友人・その他NSIの4つの尺度案を含む質問紙を用い、34名の不妊治療経験者にテストを、うち25名にリテストを実施した。削除基準をもとに各尺度の質問項目の精選を行い、再度因子分析した結果、いずれの尺度も1因子から成り構成概念妥当性があること、α係数は0.89以上で信頼性があることが確認できた。テスト-リテスト相関係数は全質問項目で0.4以上であったが、夫NSI、夫の両親NSI、友人・その他NSIにおいてκ係数が低い質問項目が存在し、安定性の面で疑問が残った。また夫NSI、夫の両親NSIでは内容的妥当性において課題が残った。本研究の限界を踏まえた上で、妥当性および信頼性を確認する調査を今後も継続する必要がある。

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2014 一般社団法人日本支援対話学会
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