支援対話研究
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「納得の治療」とは~患者が求める「支援対話」を考える~
「病院選びのポイントアンケート」結果から
松本 亜樹子
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 2 巻 p. 61-73

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抄録

筆者が代表を務める不妊当事者によるセルフ・サポート・グループ「NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~」では、不妊治療環境を整えることを目的のひとつとして、さまざまな活動を行なっている。その一環として「治療環境の向上」を目的とした調査を実施したのでここに報告する。医療機関というのは、心身の不具合が生じた場合にその不具合を改善すべく、人が患者となって通う場所である。目的が「不具合の改善」と明確であるため、そこで改善されなければ、同種の別の医療機関を探し、あらたに通いなおすことになる。つまり転院である。では、これが生殖補助医療(以下「不妊治療」と表記)においてはどうか。日本における不妊治療施設(体外受精などの高度生殖補助医療ができる医療機関)数は、586施設であり、世界で最も多い。そのためか不妊治療患者は転院数が多いとも言われている。通院の目的が不具合の改善ならば、不妊治療の目的はすなわち「妊娠」(ひいては出産)であるため、妊娠しなければ転院となるであろうことは想像に難くない。しかし、果たしてそれは事実か。転院の理由はそれだけ、つまり「心身」の「身」だけで、「心」に関する課題はなかったのであろうか。この論文ではこの点を解明すべく、アンケートを通して見えてきた「患者が病院を選ぶポイント」を分析する。

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2014 一般社団法人日本支援対話学会
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