2017 年 4 巻 p. 17-37
本研究は、感謝最大化原理と利潤最大化原理という、現代資本主義経済における市場参加者の動機づけに関する二つの対立的対話原理により、市場参加者のふるまい、幸福度並びにポジティブ/ネガティブ感情が大きく異なることに着目した。そして「人を幸せにするおカネを創るワークショップ」と名付けられた協創型ビジネスゲームを開発し、参加者にその違いを体感させ、市場原理に関する直感の気づきを支援するワークショップモデルを構築した。 本ワークショップは2016年1月から3月まで計3回にわたり実施され、調査に協力が得られた75名を対象とする調査の結果、二つの対話原理が、ありがとう最大化の通貨「エミー」ともうけ最大化の通貨「ゼニー」を使ったビジネスゲームにより経験され、参加者にポジティブ/ネガティブ感情及び幸福度に有意な増減があり、資本主義市場をめぐる対立的対話原理の直感的理解に有効なモデルであることが定量的に立証された。