支援対話研究
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社会起業家とリーダーシップ
―シニアの可能性を探る―
橋本 壽之
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 4 巻 p. 39-52

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抄録

我が国は、飛躍的な経済復興を遂げた後、少子高齢化と医療介護費増等々、将来への不安が広がってきたが、税収減により国や行政は対応が難しくなってきた。このような中、これらの社会問題を社会起業家として解決する若者達が表れてきた。そこで、増加する元気なシニアによる社会起業家への期待が高まってきた。 本稿では、社会起業家の行動の特徴を調査すると、彼らの多くは知識・経験・スキルが乏しいにも関わらず、誰も解決できなかった社会問題を解決できるのは、確立された組織内で発揮される従来型のリーダーシップとは大きく異なる、不確実な社会にも適用出来る新しいタイプのリーダーシップを発揮していることが判明した。即ち、彼らは社会問題に遭遇すると、それを他人事とせずに自らの問題と捉え、心の底から突き上げる動機、そして「もし国ができないなら、実現するのは私しかいない」という強い情熱と使命感をもって取組み、それが顧客や協力者を巻き込む創造的な、ネットワーク型のリーダーシップを発揮していることが分かった。一方、シニアの多くは確立された組織下で規則に従い粛々と仕事をしてきたことを考えると、彼らが社会起業家として活躍するには、単に知識・経験・スキルがあり働く意欲があるだけでは役に立たず、自ら創造的なリーダーシップを身につける努力をし、かつ社会がそれを支援する仕組みを用意する必要があることを示す。

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2017 一般社団法人日本支援対話学会
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