2021 年 15 巻 p. 5-13
本稿では,学部生チューターによるライティング支援の実態を,特に教員チューターのそれと比較することで明らかにした。その方法として相談者と支援者との間で交わされる「対話」に着目し,セッションの録音素材を分析した。学部生チューターは,書き手との親和性が有利に働く一方で,質問や理由伝達のスキルには個人差が生じやすく,優先順位の不適切さや説明の曖昧さには総じて課題が多い。また,書き手の悩みが漠然としている場合は力を発揮しにくいなど,学部生チューターが苦手とする場面には一定の傾向がみられる。そのため,彼らの苦手要素に照準を合わせた研修メニューの開発や補助ツールの活用,運営方法の工夫などの対策を講じる必要がある。