2021 年 16 巻 p. 169-178
主体的・対話的に批評を行わせる学修活動を取り入れた授業実践を実施し,批評文の変化を分析するとともに,批評文の変化が大きかったグループの学修活動の分析を会話を中心に行った。その結果,取り出した情報と解釈を結びつける理由づけが記述される等の批評文の変化が見られた。また,分析対象となったグループでは,散発的で単調な会話から相手の発言に関連づいた会話に展開していた。作品がただ面白いという感想から,作品の内容や表現に着目しつつ,他者にも捉えられる理由を求めようとする意識が共有されるようになっていった。一方で,批評においてどのような理由を持ち出すとよいのかという点をメタ的・批判的に意識化させることができなかったという実践上の課題が見出された。