2025 年 19 巻 2 号 p. 147-156
COVID-19の影響を受けて,薬学教育ではオンライン教育を余儀なくされた。コロナ禍の日本の薬学教育におけるオンライン教育の実践内容が報告されているが,実施状況を網羅的に集積した例はない。本研究では,2020年から行われた日本のオンライン教育の現状を明らかとするために,カテゴリー生成のための予備的検討とスコーピングレビューを行った。各報告を質的分析した結果,大カテゴリーとして,講義,実習,演習,評価,卒業研究,個別指導,初年次教育,その他の8個の領域に分類した。このうち,講義や演習といった教育の主軸であり,即時にオンラインへの転換が可能となった領域の報告が多かった。その他の領域は報告数が少ないことから領域による報告格差があり,出版バイアスが生じている可能性のあることが明らかとなった。教育分野では情報共有の意義は大きく,今後の薬学教育の発展のために積極的に報告を行う必要がある。