2025 年 19 巻 2 号 p. 157-163
本研究では,私立大学薬学部1年生の物理化学コースの正課外チュータリング補講を担当した学生チューターの知識習得度と意識に与える影響を評価することを目的とした。学生チューターは,本学薬学部2,3年生から公募し,15名(男性7名,女性8名)を採用した。薬学部1年生の物理化学の正規授業内での小テストの成績から対象者に,学生チューターによる補講を実施した。学生チューターの学修成果を,3回のテストの得点及びアンケート結果より評価した。試験の得点率は,事前(63%)に比べて,中間(82%)および事後(78%)で得点率が上昇した。さらに,アンケート結果より,62%の学生チューターが,携わった内容に対する理解を強く実感し,学生チューターの76%は,担当受講生の内容理解度および取り組み姿勢が向上したと自覚していた。以上のことから,チューター指導により,チューター自身の学習効果が向上するだけでなく担当受講生の理解と学習姿勢の向上をもたらす可能性があることを示した。