2018 年 22 巻 2 号 p. 108-118
本研究は,認知機能低下により療養行動が不安定になった高齢糖尿病患者への外来における看護実践プロセスを明らかにすることを目的とし,外来看護師6名の語りを,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
実践は,【認知機能低下の確信プロセス】に始まり,【認知機能低下を来した患者の現状把握】から【支援体制の必要性の認識】に至り【患者の療養行動安定を促進する支援】,【家族の支援役割獲得を促進する支援】に繋がる.その後,患者と家族両者にとっての最善の状態を模索し,同時の【安定の評価】をした後,【認知機能低下の進行の予測とケアの見通し】を持ちケアを継続するプロセスが見出された.実践には常に【ケアの根底にある一貫した方針】が流れていた.【自己の感情の調整】や【安定の意味への問い】に象徴されるように,患者や家族への配慮が迷いとなり,実践に慎重さをもたらしているという特徴が見出された.