2019 年 23 巻 1 号 p. 1-6
糖尿病地域連携クリニカルパスでA病院に紹介となり,患者機能自身がもの忘れを自覚している場合や,家族・医療スタッフが患者の認知症を疑わせる症状を感じた場合に,井門式簡易認知スクリーニング検査を行い,認知症地域連携クリニカルパスと併用する取り組みを行っている.1年で7名が対象となった.糖尿病治療は1名がインスリン頻回注射となったが,その他はBOTもしくは週1回GLP-1受容体作動薬の注射薬管理となり,6名でHbA1c(NGSP)が改善傾向を示した.全症例認知症治療薬が開始され,3名が介護保険新規申請,3名が新規介護サービスを導入した.自己注射が可能だったのは,元々自己注射をしていた認知症患者か,新規注射導入のMCI患者であり,その傾向が示された.本取り組みにより,認知症の程度に合わせた糖尿病コントロール目標値の設定や,治療法の選択,療養指導方法の選択を容易にするだけでなく,認知症の早期診断・対応の実現に寄与できる可能性が示唆された.