本研究は,急性期病院内科外来に通院する高齢糖尿病患者の家族がインスリン療法を代行する過程を明らかにすることを目的とし,対象者10名に半構造化面接調査を行い質的に分析した.その結果高齢糖尿病患者の家族は,インスリン療法【代行前から糖尿病治療を認識する】をしていた.そして【注射の代行開始についての葛藤を持つ】が起こり,【患者が注射できない部分を見定め,必要な代行を開始する】となっていた.家族は《生活の中の注射のタイミングを調整する》など【代行を組み入れた,繰り返しの生活のリズムを作る】を行い,その中には【他者の力を借りるかの判断をする】があった.インスリン療法を代行する家族には,【代行する生活が思うようにならないという思い】や【代行する生活を継続する思い】があった.看護師はインスリン療法を代行する家族に対し,家族の臨時代行の依頼者の相談や,生活のリズムが調整できる具体的な療養支援を行う必要があると示唆された.