2020 年 24 巻 2 号 p. 171-179
本研究は,1型糖尿病患者のスキーマを明らかにする目的で,外来通院中の1型糖尿病患者1名に半構成的面接を行った.分析は,サブカテゴリは質的帰納的分析法で行ったが,カテゴリは「不合理な信念測定尺度短縮版(日本語版International Belief Test)」の因子を参考にした.その結果,1型糖尿病患者のスキーマは,【問題回避】【無力感】【倫理的非難】の3つで構成されていた.1型糖尿病は,食事と血糖値に合わせたインスリン投与と血糖値のコントロールが求められるが,命に直結するインスリン治療に伴う社会生活の制限や心理的拘束感によりスキーマが形成されていた.本事例は否定的なスキーマが形成されていたことから,肯定的なスキーマが形成されるように働きかける援助が重要である.スキーマに関する言動が聴かれるときは寄り添う姿勢で傾聴に努め,肯定的な言動が認められたときは言葉で評価し関心を寄せていることを示すなど,安心感を得られる援助が必要である.