日本糖尿病教育・看護学会誌
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原著
糖尿病をもつ患者の“わかっているけれど,できない”ことへの自己対処の様相
長棟 瑞代稲垣 美智子多崎 恵子堀口 智美浅田 優也北川 麻衣
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2020 年 24 巻 2 号 p. 181-190

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抄録

本研究の目的は,2型糖尿病患者の“わかっているけれど,できない”という現象の構造を描くことである.分析対象者11名を,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.構造は,【空腹に敏感になった身体に苛まれる】を起点とし,【生活を通して考え,療養経験を培ってきたと思う】【普通の身体でなくなったと感じる】《意志の弱さを常に感じる》を辿り,分岐点となる【食事療法が“できていない”と“できない”でわからなくなる】を経て【自分なりの我慢で“できない”ことに対処する】に至るプロセスとして描くことができた.以上より,“できない”という言葉に対する身体感覚に焦点を当てることが重要であると示唆された.身体感覚に確信を持てないでいる為,行動として“できていない”と,身体として“できない”を分けて捉える必要があると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
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