2021 年 25 巻 1 号 p. 73-78
高齢者糖尿病では認知機能障害・認知症をきたしやすく,高血糖,重症低血糖,身体活動量低下,低栄養,孤立が危険因子となる.記憶障害,手段的ADL低下,セルフケアの低下などを手がかりとし,認知機能の評価を行う.療養指導においては食事,運動,社会参加などのフレイル対策を行う.食事療法では適正なエネルギー量や十分なたんぱく質,ビタミンの摂取を勧め,食品の多様性を増やすように指導する.運動療法では坐位時間を短くし,レジスタンス運動を含む多要素の運動を行う.薬物療法では介護者にも低血糖・シックデイ対策を指導する.アドヒアランスの低下がある場合には,治療の単純化を考慮し,服薬環境を整える.行動・心理症状(BPSD)を防ぐために多職種のチームで関わり,介護者の負担を軽減することが大切である.