日本糖尿病教育・看護学会誌
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25 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
原著
  • 中尾 友美, 堤 千代, 武石 千鶴子, 清水 安子
    2021 年 25 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/08/18
    ジャーナル フリー

    目的:就労している2型糖尿病患者の生活時間のマネジメントとQOLの関連を明らかにし,生活時間のマネジメントを活用した患者教育方法について検討する.方法:就労している2型糖尿病患者に質問紙調査を実施した.調査内容は,基本属性,生活時間のマネジメント,健康関連QOLとした.分析は,健康関連QOLを従属変数,生活時間のマネジメントを独立変数とした重回帰分析,決定木分析を実施した.結果:187名を分析対象とし,重回帰分析では,生活時間のマネジメントと精神的側面,役割/社会的側面との関連がみられた.決定木分析では,精神的側面と最も関連があるものは“時間のコントロール”であり,役割/社会的側面では“仕事の調整”であった.結論:生活時間のマネジメントという側面からケアをする際は,“時間のコントロール”に着目しながらも,患者の主体的な意思決定を重視しながら生活時間のマネジメントができるように関わることが望ましい.

委員会報告
資料
  • 浅田 優也, 河内 結実, 多崎 恵子, 稲垣 美智子
    2021 年 25 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/08/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,糖尿病教育入院の実態について全国規模の調査を行い,現行の教育入院の実態の把握と課題を見出すことである.

    糖尿病専門医の勤務する認定教育施設704施設を対象に,対象施設の概要,教育入院のスケジュールと規模,プログラムの内容,プログラムの評価方法について質問紙調査を実施した.237施設(33.7%)から回答を得た.

    212(89.5%)の施設に糖尿病療養指導士の有資格者が勤務していた.14日を標準的な教育入院期間としている施設が93施設(40.3%)と最も多かった.三大療法,合併症,シックデイ,低血糖,フットケアに関するプログラムは60%以上の実施率であった.一方,コミュニケーション,社会資源,災害への備えと対処,禁煙,民間療法に関する項目の実施率は40%未満であった.カンファレンスで個別指導について振り返っている施設が最も多かったが,その実施率は50%ほどであった.

    以上のことより,教育入院の実施率が高く,多くの施設に糖尿病療養指導士が在籍しているという現状を活かし,これらの内容の充実や実施率を向上させるための取り組みの必要性が示唆された.

  • 渡辺 忍, 柴山 大賀
    2021 年 25 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/08/18
    ジャーナル フリー

    インスリン療法を行う要介護高齢者の在宅支援のために医師・看護師と介護支援専門員が連携する上で共有すべき最重要情報項目を明らかにするため,デルファイ法による調査を行った.まず,文献をもとに85項目の情報を選定した.次に糖尿病や在宅医療を専門とする医師と看護師,インスリン療法を行う要介護者支援経験がある介護支援専門員を対象にインタビュー調査で情報が追加され,最終的に選定された140項目の網羅性を確認した.その後,医療と介護の現場で糖尿病に関する経験を有する専門職を対象にした質問紙調査を3回繰り返し,140項目のうちシックデイや低血糖時の対応等に関する23項目が『最重要情報項目』として集約された.この『最重要情報項目』はインスリン療法を行う要介護者支援のため,看護師が介護支援専門員と共有する必要がある最も重要な情報項目と考えられた.

第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告
原著
  • 中島 啓子, 安東 由佳子
    2021 年 25 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/11/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,成人期発症1型糖尿病患者のセルフケア能力に関連している心理・社会的要因を明らかにすることである.成人期に1型糖尿病と診断された患者98名を対象に,無記名の自記式質問紙調査を実施し,セルフケア能力と,病気の不確かさ,首尾一貫感覚(SOC),家族サポートとの関連を共分散構造分析で解析した.有効回答者数は92名であった.分析の結果,セルフケア能力に関連する要因は,家族サポート,病気の不確かさの下位尺度<情報解釈の複雑性>,SOCであった.また,セルフケア能力には,家族サポートと病気の不確かさの下位尺度<闘病力への自信の揺らぎ><生活予測不能性>から,SOCを介した間接効果も認められた.家族サポートからセルフケア能力への直接効果と総合効果が,他のパス係数と比較して高値であったことから,家族サポートがセルフケア能力に及ぼす影響が大きいと考えられ,家族によるサポートを支援する看護ケアの重要性が示唆された.

  • 小林 真央, 利 緑, 安藤 秀明
    2021 年 25 巻 1 号 p. 93-102
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/11/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は看護師のCDEJ(Nurses who are Certified Diabetes Educator of Japan:CDEJN)の役割行動を明らかにすることである.CDEJNの役割行動に関連すると考えられる項目についての質問紙調査を協力可能であると返答のあった81施設に在籍する481名のCDEJNに実施し199名から回答を得た(回答率41.4%).回答結果を探索的因子分析で分析し,CDEJNの役割行動として「糖尿病患者への療養指導」,「合併症・合併症予防への療養指導」,「糖尿病療養指導チームでの協働・連携」,「地域の糖尿病活動の支援」,「多職種の糖尿病療養指導の支援」,「糖尿病看護実践の省察」の6つが存在することが明らかになった.因子間相関係数は0.249~0.714,クロンバックのα係数はCDEJNの役割行動全体で0.939,各因子で0.822~0.915だった.CDEJN経験年数,糖尿病療養指導患者数が多く糖尿病療養指導時間が長いほどCDEJNの役割行動の得点が高くなる傾向にあり,CDEJNとしての経験を重ねることでCDEJNとしての役割行動が発揮されていると考えられる.

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