本研究の目的は,糖尿病教育入院の実態について全国規模の調査を行い,現行の教育入院の実態の把握と課題を見出すことである.
糖尿病専門医の勤務する認定教育施設704施設を対象に,対象施設の概要,教育入院のスケジュールと規模,プログラムの内容,プログラムの評価方法について質問紙調査を実施した.237施設(33.7%)から回答を得た.
212(89.5%)の施設に糖尿病療養指導士の有資格者が勤務していた.14日を標準的な教育入院期間としている施設が93施設(40.3%)と最も多かった.三大療法,合併症,シックデイ,低血糖,フットケアに関するプログラムは60%以上の実施率であった.一方,コミュニケーション,社会資源,災害への備えと対処,禁煙,民間療法に関する項目の実施率は40%未満であった.カンファレンスで個別指導について振り返っている施設が最も多かったが,その実施率は50%ほどであった.
以上のことより,教育入院の実施率が高く,多くの施設に糖尿病療養指導士が在籍しているという現状を活かし,これらの内容の充実や実施率を向上させるための取り組みの必要性が示唆された.
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