抄録
本論は、東京国立博物館が所蔵する館史資料『大震災関係書類』を対象に、いわゆる博物館業務において優先される収蔵品や展示に関するものではない資料や情報が、近年謳われる“地域連携”志向において、地域との関係性を示す資料としてどのように活用されうるかを明らかにすることを目的とする。それにより従来の博物館研究において、いわゆる展示や収蔵品といった優先度の高い情報ではなかったためにあまり焦点があてられてこなかった資料を、博物館の社会的・歴史的位置や地域との関係性を示す資料として捉え直し、博物館資料のさらなる活用可能性を提示する。