アート・ドキュメンテーション研究
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明治期の書籍における「題辞」の様態
―美術書を事例として―
田良島 哲
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2019 年 26 巻 p. 21-35

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抄録

 題辞は東洋の古典籍の要素の一つで、学者や政治家など社会的に著名な人物が自ら揮毫した語句や文章をその姿で再現して巻頭に掲げられる。日本では江戸時代から普及したが、近代になっても印刷技術の発達に伴って、かなり長期間出版時の慣習として続いた。小論では特に素材を明治時代以降の美術書に絞り、その様態や掲載の経緯などについて検討を加えた結果、写真を素材とした再現性の向上と技術的な容易さから、むしろ近代になってからのほうがさまざまな形態の題辞が現れ、同時に著者と題辞筆者との間に、より具体的な社会的関係性がうかがわれることが明らかになった。

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© 2019 アート・ドキュメンテーション学会
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