資料として記録される動的映像(以下、映像)、とりわけアナログ映像はデジタル化されても学術研究で積極的に活用される機会が極めて少ない。
本稿は半世紀前に記録された調査記録映像を取り上げ、時に冗長と評価されるその「未編集性」を逆に積極的に評価して、映像分析に基づく映像の再資料化を試みた過程を示す。具体的には、映像内容へのシームレスなアクセスを可能にする方法、映像がトリガーとなってもたらされる新情報の取得方法を提案する。最後にこの分析の可能性を示す例として、未完のまま中断していた関連写真資料の再整理に、この映像分析法が寄与した事案を紹介し、検証する。