発達支援学研究
Online ISSN : 2435-7626
幼児期における情動発達と行動特徴との関連
本郷 一夫平川 久美子高橋 千枝飯島 典子
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2021 年 2 巻 1 号 p. 41-58

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抄録

本研究は、幼児期における情動発達と行動特徴との関連を明らかにすることを目的とした。保育所、認定こども園のクラス担任は、幼児の情動発達(20 項目)と行動特徴(17 項目)について評定するように求められた。対象児は、4~6 歳の幼児1068 名であった。その結果、①行動統制の困難さ傾向が高い群では、〈抑制〉得点が低く、〈表情による表現〉得点と〈言葉による表現〉得点が高かった。また、②コミュニケーションの困難さ傾向が高い群では、〈理解〉得点、〈表情による表現〉得点、〈言葉による表現〉得点、〈共感〉得点が低かった。しかし、行動統制の困難さ傾向が高い子どもとコミュニケーションの困難さ傾向が低い子どもとでは、情動表出のメカニズムは異なっていると考えられた。すなわち、行動統制の困難さ傾向が高い子どもにおける情動表出の多さは〈抑制〉の困難さに基づくものであり、コミュニケーションの困難さ傾向が低い子どもの情動表出の多さは、〈理解〉や〈共感〉の高さと関連していると考えられた。今後の研究においては、情動、認知、言語、気質などの要因を同時に考慮した研究が重要となると考えられた。

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© 2021 日本発達支援学会
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