2022 年 1 巻 p. 28-36
理工系分野の学問は長い歴史の中で知識の体系化が進み、特に大学初年次における授業では、積み上げ式による基礎知識の習得が求められ、大人数・知識伝達型の講義になりやすい傾向がある。しかし、学生の主体的な学習を促進するためには、理工系講義形式授業においても、適切なアクティブラーニングの実施が求められる。筆者らは、2012年より理工系講義形式授業に特化したFDプログラム開発を行っており、数回にわたりプログラムの改善を行いながら実施してきた。本研究は、これまで開発したFDプログラムの参加者アンケートをもとに、プログラムの成果や課題を明らかにするものである。ここで開発したFDプログラムの参加者には、授業設計について学ぶ機会になったこと、事例や参加者同士の意見交換が有益であったことが明らかになった。一方、「発問」を中心にすえた授業設計を行う際には、「発問」の設定に関する課題について対応策や事例を示すこと、オンラインで実施するFDプログラムでは構成の再検討や異なる支援が必要であることが明らかになった。