本研究では、大学ラーニングコモンズ等の学習空間における学習支援活動への参加が、学生スタッフの能力開発に与える効果を明らかにする。具体的には、関西の中規模総合私立大学において、自習室やPC等の備品の貸し出しおよび、授業外での勉強方法やPCの使い方のアドバイス等の学習支援活動を担う学生スタッフ20名を対象に、傾聴力や伝達力、協働力、問題発見・解決力が上記活動によって変化したか(しなかったか)や、その理由、それらを実感できる経験や考え方の変化等についてインタビュー調査を行った。調査及び分析の結果、多くの学生スタッフが傾聴力、伝達力、協働力の向上を実感しており、活動の中で問題を発見、解決している事例が複数確認された。このことから、自身の大学の学習支援に携わることで、学生の能力の向上が期待されることが明らかとなった。
本研究は、日本の大学教育センター等の特徴と課題について「日本版CTLアセスメント基準」を用いて明らかにすることを目的とする。具体的には①センターの特徴や課題は何か、②特徴や課題の背景は何か、③本基準の意義と課題は何か、の3つの問いについて、同基準を分析枠組みに用い、大学教育センター等に所属する教職員を対象としたインタビュー調査を実施した結果をもとに追究した。その結果、日本の大学教育センター等には同基準のカテゴリーである「組織構造」「資源分配とインフラ」「プログラムとサービス」に沿った特徴や課題があり、同基準に4つの意義や2つの課題を有することが示唆された。
高等教育機関では、多様な学生を受け入れ、広範囲にわたる学生支援が必要とされる。学生支援は、担い手である教職員の能力・スキルの向上が求められ、教職協働が積極的に進められている領域である。しかし、学生支援領域において、教職協働をテーマにした研修会についての先行研究がないこと、出席状況が悪い学生や不登校学生に対する対応について、教職協働で支援を行っている実績は確認できるが、学術的な検証はほとんどみられない。このような背景を踏まえ、筆者らは、教職協働による学生支援事例を用いた教職員研修プログラムの開発を行い実践した。本稿は、実践したプログラムの参加者アンケートの結果をもとに、プログラムの成果と課題を明らかにするものである。教員と職員が同じ場で研修を受けることによって、互いの立場について理解することにつながったことと不登校学生に対する理解が促進されたことが明らかになった。
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